お金の基礎知識

法人で車を買う前に必読|減価償却の落とし穴7つ(売却益・按分・私用・仕訳)

chatbakenshi0224

「法人で車を買えば節税になるって聞いた」

この考え方、半分は本当で、半分は危ないです。

車は金額が大きいぶん、減価償却(分割で費用化)・消費税・私用按分・売却益(出口)でズレると、節税のつもりが“税金が増える”ことも普通に起きます。

※この記事は一般的な解説です。最終判断は税理士/顧問・税務署の取扱いを優先してください。

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こんな悩み、ない?

法人で車を買うと節税って本当?

減価償却って、結局どれくらい得なの?

売ったら税金が増えるって聞いて怖い…

私用(プライベート)でも使うけど、どう処理するの?

結論:車の節税は「仕組みを理解して、事故りやすいポイントを潰す人」だけが得します。

落とし穴を知らないまま買うと、税務否認・売却益課税・仕訳ミスで“逆に損”になりやすいです。

本記事のテーマ
法人で車を買うときに「減価償却で損する7パターン」を先に知っておく 買う前に押さえるべき論点(私用按分・仕訳・消費税・売却益)を、1ページで整理します。
この記事でわかること(STEP)
  • STEP1:そもそも「車の節税」がズレる理由(減価償却の前提)
  • STEP2:減価償却の落とし穴7つ(ここが事故ポイント)
  • STEP3:買う前に決めるべき設計(按分・出口・書類)
  • STEP4:実務:仕訳の型(購入〜償却〜売却)をテンプレ化
  • STEP5:購入/リース/残クレの判断軸(結局どれが合う?)
先に結論:車の節税で勝つコツ
  • 「買えば得」ではなく、減価償却は“分割で費用化”される(決算前でも一括で落ちない)
  • 私用が混ざるなら、事業供用割合(按分)を記録して守る
  • 出口(売却)まで設計しないと、売却益課税で帳消しになりやすい
  • 仕訳・書類(契約/領収/走行記録)をテンプレ化すると事故が減る

このあと「落とし穴7つ→回避策→仕訳テンプレ→比較判断」の順で整理します。

STEP1:そもそも減価償却って何?「節税」とのズレの正体

減価償却=高い買い物を「何年かに分けて経費」にする仕組み

車は基本的に“資産”なので、買った年に全額が経費にはなりません(例外として少額資産などはありますが、車みたいな高額は原則対象外)。

つまり、節税効果は「その年に計上できた費用 × 税率」で決まります。

ざっくり節税額のイメージ(超シンプル例)
  • 車を300万円で買う → その年に計上できる減価償却費が60万円(仮)
  • 実効税率30%(仮)なら、節税インパクトは 60万円 × 30%=18万円(仮)
  • ただし私用が混ざれば按分され、売却時に売却益課税が起きる可能性もある

※税率・償却額・消費税の扱いは状況で変わります。「得したつもり」がズレる原因はここ。

途中で詰まりやすい人へ
そもそも法人の作り方(マイクロ法人)を先に確認する

車の経費化は「法人設計(役員報酬/口座/経費ルール)」が整ってるほど安全。法人の立て方・基本の流れを先に押さえると、あとがラクです。

この記事を読む

STEP2:減価償却の落とし穴7つ(ここで損する)

落とし穴①「ほぼ私用」なのに全額経費:事業供用割合(按分)で否認される

車はプライベート利用が混ざりやすい代表格。“何%を事業で使ったか”が説明できないと、経費が削られます。

  • 日報/走行距離メモ/訪問記録など、証拠の形を残しておく
  • 「通勤」「家族送迎」が多いなら、按分前提で設計する
  • ガソリン・駐車場・保険も、同じく按分が必要になりやすい

おすすめは「月ごとに事業走行割合を出す」だけでもOK。ゼロより圧倒的に強いです。

落とし穴② 耐用年数・中古の扱いミス:償却額がズレて事故る

減価償却は耐用年数(何年で償却するか)がベース。中古車は条件で計算が変わるため、ここを雑にやるとズレます。

  • 新車/中古で前提が変わる(中古は「残り年数」的な考え方が絡む)
  • “なんとなく5年”みたいな処理は危険
  • 不安なら「税理士に耐用年数だけ確認」でコスパ最強

耐用年数は“節税の大きさ”を左右するので、最優先で正確に。

落とし穴③ 決算前に買えば“全額落ちる”と思っている:分割でしか落ちない

よくある勘違いが「決算前に買えば経費でドーン」。実際は原則、減価償却で分割です。

  • 買った月・事業供用開始のタイミングで、償却額が変わる
  • “今年の利益を潰すために車”は、期待ほど効かないことがある
  • 焦って買うほど、車種・契約条件で損しがち
落とし穴④ ローン=全部経費と勘違い:元本は経費じゃない

ローン支払いのうち、元本は資産の支払いで経費になりません。経費になるのは、主に「利息」や「減価償却費」です(会計処理の設計次第)。

  • 現金購入でもローンでも、資産計上→減価償却の流れは同じ
  • 毎月の支払い額=節税額ではない
  • キャッシュフロー(手元資金)と税金(利益)を混同しない
落とし穴⑤ 消費税が絡むと難易度UP:課税/免税・インボイスでズレる

法人の状況によっては、車の購入・リースで消費税の扱いが変わります。

  • 課税事業者か/免税かで、インパクトが大きく変わる
  • インボイス対応・仕入税額控除など、実務の地雷がある
  • 「とりあえず全額控除」は危険(事業供用割合の論点も絡む)

ここは個別事情が強いので、判断に迷ったら“顧問に1回聞く”のが最短です。

落とし穴⑥ 売却益(出口)で逆噴射:安く買って高く売れたら課税される

減価償却で帳簿価格(簿価)が下がった車を売ると、売却額 − 簿価が利益になり、課税対象になることがあります。

  • 「償却で節税した分」が、売却時に戻ってくるイメージ
  • 人気車・高リセール車ほど、この論点が刺さる
  • 売る時期・売り方・簿価を見ずに売ると、想定外の税金が出る

節税は“入口”だけじゃなく“出口”まで見て初めて勝ち。

落とし穴⑦ 役員の「私的メリット」判定:社用車なのに実質プライベート扱い

役員が好き放題使っていて、事業との関連が薄いと、税務上の見え方が悪くなります。

  • 社内ルール(使用目的・利用制限・記録方法)を作る
  • 駐車場が自宅のみ・土日だけ走行…などは説明が難しくなる
  • “社用車っぽい体裁”だけだと、否認されやすい

STEP3:買う前に決めるべき「3つの設計」(按分・出口・書類)

① 按分(事業供用割合)を先に決める:60%なのか90%なのか

まずは現実に合わせて決めます。「事業で使うつもり」ではなく、実際の使い方で。

  • 営業・訪問が多い → 事業割合が高くなりやすい
  • 通勤メイン → 事業割合は低くなりやすい(説明も難しい)
  • おすすめは「走行距離」ベースで月次に記録(スマホメモでOK)
② 出口(売却)を想定:リセールが高い車ほど“売却益課税”を忘れない

“高く売れる車=得”になりがちですが、法人会計では売却益が利益になりやすい点が落とし穴。

  • 購入時点で「何年乗って、どの価格帯で売るか」ざっくり決める
  • 売却予定年の簿価(減価償却の進み)をイメージする
  • 売却益が出そうなら、利益の出方も含めて事前に想定
③ 書類を揃える:税務は「ストーリー」より「証拠」

税務で強いのは、いちばん地味なやつです。

  • 契約書・請求書・領収書(電子でもOKだが保存ルールは守る)
  • 走行記録(目的・日付・距離)
  • 社内ルール(社用車の使い方、私用時の扱い)
ワンポイント:節税トークに飲まれない

「税金が減る=得」ではなく、キャッシュ(手元資金)が残るかが本質。節税は“結果”であって“目的”にすると、損をしやすいです。 [oai_citation:0‡コツコツマネーLabo](https://chatbakenshi.com/yametoke-7traps/?utm_source=chatgpt.com)

STEP4:実務で迷わない「仕訳テンプレ」(購入→償却→売却)

購入時の基本(例):車両300万円を普通預金で支払った

※勘定科目名は会社のルールに合わせてOK。ここではイメージとして。

  • (借方)車両運搬具 3,000,000 /(貸方)普通預金 3,000,000
  • 諸費用(登録費用等)がある場合は、内容により「支払手数料」「租税公課」「車両運搬具に含める」など判断が分かれる
  • 購入時点で按分が必要なら、内部管理で割合を持っておく(全仕訳を割るより“月次で按分調整”がラクな場合も)
減価償却の計上(例):当期の償却費が600,000
  • (借方)減価償却費 600,000 /(貸方)減価償却累計額 600,000
  • 私用が20%あるなら、経費化できるのは原則80%(会社の処理方針により按分の出し方は変わる)
  • ガソリン・保険・駐車場も「同じ割合でいいのか」を整理(使い方次第)

実務は“毎月ざっくり”→決算で微調整、の方が継続できます。

売却時の考え方(例):売却150万円/簿価80万円 → 売却益70万円

簿価=車両の取得価額 − 減価償却累計額。ここを見ずに売ると、税金がドンと来てビビります。

  • 売却益が出る:課税される可能性(法人の利益)
  • 売却損が出る:損金になる可能性
  • 売却時にも消費税の論点が絡むことがある(ここは個別事情が強い)
購入・リース・残クレのざっくり比較(判断の地図)
選択肢節税の効き方キャッシュの重さ事故ポイント
購入(現金/ローン)減価償却で分割重め(頭金/返済)売却益/按分/耐用年数
リース毎月費用化しやすい平準化しやすい契約条件/中途解約
残クレ(残価設定)会計処理が複雑になりがち月額は軽く見える出口の追加負担

「税金」だけで決めず、月次キャッシュと出口(売却/返却)まで含めて判断。

STEP5:結局どれが向いてる?(買う前のチェックリスト)

買う前に必ず確認:この10個を埋めたら事故りにくい
  • ① 事業供用割合(按分)を説明できる?(走行記録の運用は?)
  • ② 車が本当に必要?(タクシー/レンタカー/カーシェアで代替不可?)
  • ③ 耐用年数(新車/中古)を正しく扱える?
  • ④ 決算対策で買うなら、償却額の見込みは把握した?
  • ⑤ 消費税(課税/免税)やインボイスで不利にならない?
  • ⑥ 出口(売却)を想定した?(何年後に売る/いくらで売る)
  • ⑦ 高リセール車は“売却益課税”が出やすいと理解した?
  • ⑧ 仕訳テンプレを作った?(購入/償却/売却)
  • ⑨ 社内ルール(私用時の扱い/運用)を作った?
  • ⑩ 「税金が減る」より「手元に残る」が勝ち筋になってる?

この10個が曖昧なら、買うのは“まだ早い”可能性が高いです。

まとめ:法人の車は“減価償却の理解”が9割
  • 減価償却は分割。決算前に買っても一括で落ちない
  • 私用が混ざるなら按分。証拠(走行記録)を残す
  • 出口(売却益)まで見ないと、節税が帳消しになりやすい
  • 仕訳テンプレ+書類運用で、事故確率が一気に下がる

次の記事は「売却益の税金(出口)」or「仕訳まとめ(実務)」に繋げると回遊が伸びます。

よくある質問(FAQ)

Q. 法人で車を買うと、どれくらい節税になりますか?

A. ざっくりは「当期に計上できた経費(減価償却費など)× 実効税率」です。例えば当期の償却費が60万円で実効税率30%なら、単純計算で約18万円相当(仮)になります。ただし私用按分・消費税の扱い・売却益(出口)で結果は大きく変わるので、購入前に“当期の償却見込み”と“売却時の簿価”までセットで見てください。

Q. 私用でも使う場合、どこまで経費にできますか?

A. 原則は事業供用割合(按分)です。走行距離・訪問記録などの形で「事業で使った割合」を説明できる状態にしておくのが安全。車両費(ガソリン/保険/駐車場)も同様に按分が絡みやすいです。

Q. 決算前に買えば“全額経費”になりませんか?

A. 原則なりません。車は資産なので減価償却で分割して費用化されます。決算対策で買うなら「当期にいくら償却できるか」を先に計算し、キャッシュ(支払い)と税金(利益)を分けて判断するのが重要です。

Q. 売却益(売ったときの利益)って本当に税金がかかるんですか?

A. かかる可能性があります。帳簿上の簿価(取得価額−減価償却累計額)より高く売れた分は、原則として法人の利益になりやすいです。リセールが強い車ほど、出口で課税されるイメージを持っておくと事故が減ります。

Q. リースと購入、どっちが得ですか?

A. “税金だけ”で決めると失敗しやすいです。購入は売却益・按分・耐用年数が事故ポイントになりやすく、リースは契約条件(中途解約・走行距離制限など)が地雷になりやすい。あなたの事業供用割合、資金繰り、何年で乗り換えるか(出口)で最適解が変わります。

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YAMADA
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