法人で車を買う前に必読|減価償却の落とし穴7つ(売却益・按分・私用・仕訳)

「法人で車を買えば節税になるって聞いた」
この考え方、半分は本当で、半分は危ないです。
車は金額が大きいぶん、減価償却(分割で費用化)・消費税・私用按分・売却益(出口)でズレると、節税のつもりが“税金が増える”ことも普通に起きます。
※この記事は一般的な解説です。最終判断は税理士/顧問・税務署の取扱いを優先してください。

法人で車を買うと節税って本当?
減価償却って、結局どれくらい得なの?
売ったら税金が増えるって聞いて怖い…
私用(プライベート)でも使うけど、どう処理するの?
落とし穴を知らないまま買うと、税務否認・売却益課税・仕訳ミスで“逆に損”になりやすいです。
- STEP1:そもそも「車の節税」がズレる理由(減価償却の前提)
- STEP2:減価償却の落とし穴7つ(ここが事故ポイント)
- STEP3:買う前に決めるべき設計(按分・出口・書類)
- STEP4:実務:仕訳の型(購入〜償却〜売却)をテンプレ化
- STEP5:購入/リース/残クレの判断軸(結局どれが合う?)
- 「買えば得」ではなく、減価償却は“分割で費用化”される(決算前でも一括で落ちない)
- 私用が混ざるなら、事業供用割合(按分)を記録して守る
- 出口(売却)まで設計しないと、売却益課税で帳消しになりやすい
- 仕訳・書類(契約/領収/走行記録)をテンプレ化すると事故が減る
このあと「落とし穴7つ→回避策→仕訳テンプレ→比較判断」の順で整理します。
STEP1:そもそも減価償却って何?「節税」とのズレの正体
車は基本的に“資産”なので、買った年に全額が経費にはなりません(例外として少額資産などはありますが、車みたいな高額は原則対象外)。
つまり、節税効果は「その年に計上できた費用 × 税率」で決まります。
- 車を300万円で買う → その年に計上できる減価償却費が60万円(仮)
- 実効税率30%(仮)なら、節税インパクトは 60万円 × 30%=18万円(仮)
- ただし私用が混ざれば按分され、売却時に売却益課税が起きる可能性もある
※税率・償却額・消費税の扱いは状況で変わります。「得したつもり」がズレる原因はここ。
車の経費化は「法人設計(役員報酬/口座/経費ルール)」が整ってるほど安全。法人の立て方・基本の流れを先に押さえると、あとがラクです。
STEP2:減価償却の落とし穴7つ(ここで損する)
車はプライベート利用が混ざりやすい代表格。“何%を事業で使ったか”が説明できないと、経費が削られます。
- 日報/走行距離メモ/訪問記録など、証拠の形を残しておく
- 「通勤」「家族送迎」が多いなら、按分前提で設計する
- ガソリン・駐車場・保険も、同じく按分が必要になりやすい
おすすめは「月ごとに事業走行割合を出す」だけでもOK。ゼロより圧倒的に強いです。
減価償却は耐用年数(何年で償却するか)がベース。中古車は条件で計算が変わるため、ここを雑にやるとズレます。
- 新車/中古で前提が変わる(中古は「残り年数」的な考え方が絡む)
- “なんとなく5年”みたいな処理は危険
- 不安なら「税理士に耐用年数だけ確認」でコスパ最強
耐用年数は“節税の大きさ”を左右するので、最優先で正確に。
よくある勘違いが「決算前に買えば経費でドーン」。実際は原則、減価償却で分割です。
- 買った月・事業供用開始のタイミングで、償却額が変わる
- “今年の利益を潰すために車”は、期待ほど効かないことがある
- 焦って買うほど、車種・契約条件で損しがち
ローン支払いのうち、元本は資産の支払いで経費になりません。経費になるのは、主に「利息」や「減価償却費」です(会計処理の設計次第)。
- 現金購入でもローンでも、資産計上→減価償却の流れは同じ
- 毎月の支払い額=節税額ではない
- キャッシュフロー(手元資金)と税金(利益)を混同しない
法人の状況によっては、車の購入・リースで消費税の扱いが変わります。
- 課税事業者か/免税かで、インパクトが大きく変わる
- インボイス対応・仕入税額控除など、実務の地雷がある
- 「とりあえず全額控除」は危険(事業供用割合の論点も絡む)
ここは個別事情が強いので、判断に迷ったら“顧問に1回聞く”のが最短です。
減価償却で帳簿価格(簿価)が下がった車を売ると、売却額 − 簿価が利益になり、課税対象になることがあります。
- 「償却で節税した分」が、売却時に戻ってくるイメージ
- 人気車・高リセール車ほど、この論点が刺さる
- 売る時期・売り方・簿価を見ずに売ると、想定外の税金が出る
節税は“入口”だけじゃなく“出口”まで見て初めて勝ち。
役員が好き放題使っていて、事業との関連が薄いと、税務上の見え方が悪くなります。
- 社内ルール(使用目的・利用制限・記録方法)を作る
- 駐車場が自宅のみ・土日だけ走行…などは説明が難しくなる
- “社用車っぽい体裁”だけだと、否認されやすい
STEP3:買う前に決めるべき「3つの設計」(按分・出口・書類)
まずは現実に合わせて決めます。「事業で使うつもり」ではなく、実際の使い方で。
- 営業・訪問が多い → 事業割合が高くなりやすい
- 通勤メイン → 事業割合は低くなりやすい(説明も難しい)
- おすすめは「走行距離」ベースで月次に記録(スマホメモでOK)
“高く売れる車=得”になりがちですが、法人会計では売却益が利益になりやすい点が落とし穴。
- 購入時点で「何年乗って、どの価格帯で売るか」ざっくり決める
- 売却予定年の簿価(減価償却の進み)をイメージする
- 売却益が出そうなら、利益の出方も含めて事前に想定
税務で強いのは、いちばん地味なやつです。
- 契約書・請求書・領収書(電子でもOKだが保存ルールは守る)
- 走行記録(目的・日付・距離)
- 社内ルール(社用車の使い方、私用時の扱い)
「税金が減る=得」ではなく、キャッシュ(手元資金)が残るかが本質。節税は“結果”であって“目的”にすると、損をしやすいです。 [oai_citation:0‡コツコツマネーLabo](https://chatbakenshi.com/yametoke-7traps/?utm_source=chatgpt.com)
STEP4:実務で迷わない「仕訳テンプレ」(購入→償却→売却)
※勘定科目名は会社のルールに合わせてOK。ここではイメージとして。
- (借方)車両運搬具 3,000,000 /(貸方)普通預金 3,000,000
- 諸費用(登録費用等)がある場合は、内容により「支払手数料」「租税公課」「車両運搬具に含める」など判断が分かれる
- 購入時点で按分が必要なら、内部管理で割合を持っておく(全仕訳を割るより“月次で按分調整”がラクな場合も)
- (借方)減価償却費 600,000 /(貸方)減価償却累計額 600,000
- 私用が20%あるなら、経費化できるのは原則80%(会社の処理方針により按分の出し方は変わる)
- ガソリン・保険・駐車場も「同じ割合でいいのか」を整理(使い方次第)
実務は“毎月ざっくり”→決算で微調整、の方が継続できます。
簿価=車両の取得価額 − 減価償却累計額。ここを見ずに売ると、税金がドンと来てビビります。
- 売却益が出る:課税される可能性(法人の利益)
- 売却損が出る:損金になる可能性
- 売却時にも消費税の論点が絡むことがある(ここは個別事情が強い)
| 選択肢 | 節税の効き方 | キャッシュの重さ | 事故ポイント |
|---|---|---|---|
| 購入(現金/ローン) | 減価償却で分割 | 重め(頭金/返済) | 売却益/按分/耐用年数 |
| リース | 毎月費用化しやすい | 平準化しやすい | 契約条件/中途解約 |
| 残クレ(残価設定) | 会計処理が複雑になりがち | 月額は軽く見える | 出口の追加負担 |
「税金」だけで決めず、月次キャッシュと出口(売却/返却)まで含めて判断。
STEP5:結局どれが向いてる?(買う前のチェックリスト)
- ① 事業供用割合(按分)を説明できる?(走行記録の運用は?)
- ② 車が本当に必要?(タクシー/レンタカー/カーシェアで代替不可?)
- ③ 耐用年数(新車/中古)を正しく扱える?
- ④ 決算対策で買うなら、償却額の見込みは把握した?
- ⑤ 消費税(課税/免税)やインボイスで不利にならない?
- ⑥ 出口(売却)を想定した?(何年後に売る/いくらで売る)
- ⑦ 高リセール車は“売却益課税”が出やすいと理解した?
- ⑧ 仕訳テンプレを作った?(購入/償却/売却)
- ⑨ 社内ルール(私用時の扱い/運用)を作った?
- ⑩ 「税金が減る」より「手元に残る」が勝ち筋になってる?
この10個が曖昧なら、買うのは“まだ早い”可能性が高いです。
- 減価償却は分割。決算前に買っても一括で落ちない
- 私用が混ざるなら按分。証拠(走行記録)を残す
- 出口(売却益)まで見ないと、節税が帳消しになりやすい
- 仕訳テンプレ+書類運用で、事故確率が一気に下がる
次の記事は「売却益の税金(出口)」or「仕訳まとめ(実務)」に繋げると回遊が伸びます。
よくある質問(FAQ)
A. ざっくりは「当期に計上できた経費(減価償却費など)× 実効税率」です。例えば当期の償却費が60万円で実効税率30%なら、単純計算で約18万円相当(仮)になります。ただし私用按分・消費税の扱い・売却益(出口)で結果は大きく変わるので、購入前に“当期の償却見込み”と“売却時の簿価”までセットで見てください。
A. 原則は事業供用割合(按分)です。走行距離・訪問記録などの形で「事業で使った割合」を説明できる状態にしておくのが安全。車両費(ガソリン/保険/駐車場)も同様に按分が絡みやすいです。
A. 原則なりません。車は資産なので減価償却で分割して費用化されます。決算対策で買うなら「当期にいくら償却できるか」を先に計算し、キャッシュ(支払い)と税金(利益)を分けて判断するのが重要です。
A. かかる可能性があります。帳簿上の簿価(取得価額−減価償却累計額)より高く売れた分は、原則として法人の利益になりやすいです。リセールが強い車ほど、出口で課税されるイメージを持っておくと事故が減ります。
A. “税金だけ”で決めると失敗しやすいです。購入は売却益・按分・耐用年数が事故ポイントになりやすく、リースは契約条件(中途解約・走行距離制限など)が地雷になりやすい。あなたの事業供用割合、資金繰り、何年で乗り換えるか(出口)で最適解が変わります。






