不動産投資の利回りは信用するな|表面/実質の違いと“見抜く計算”を初心者向けに解説


「利回り7%って書いてあるけど、これって“儲かる”の?」
「表面利回りと実質利回り、結局どっちを見ればいい?」
「計算が苦手で、営業トークに押し切られそう…」
※この記事は一般的な考え方の整理です。最終判断はご自身の状況に合わせて行ってください。
- STEP1:表面利回りの正体(なぜ盛れるのか)
- STEP2:実質利回りの計算(入れるべき経費の一覧)
- STEP3:ローン込みのキャッシュフローで“詰むか”判定
- STEP4:物件比較テンプレ(数字の入れ方・見方)
- STEP5:判断ライン:買う/見送るの条件をチェックリスト化
- 比較の入口は表面利回りでもOK。でも決断は実質利回り+毎月CFで。
- 経費を入れない利回りは意味が薄い(管理費/修繕/税金/保険/空室/募集費は最低セット)。
- 「満室想定・空室ゼロ・修繕ゼロ」で作った数字は、ほぼ未来で崩れる。
- 最後は「空室1〜2か月」でも耐える設計か。耐えないなら“買う前に詰む”。
ここを押さえるだけで、営業資料の“見栄えだけの利回り”に引っかかりにくくなります。
STEP1:表面利回りの正体(なぜ盛れるのか)
表面利回りは基本的に、年間の家賃収入 ÷ 物件価格で作るシンプルな指標です。
ただし“シンプルすぎる”のが最大の弱点。現実の不動産は、経費・空室・修繕・税金が確実に発生します。
つまり、表面利回りは「見た目は良くできる」=営業トークで使いやすい、というだけ。
- 空室率を0%で計算(実際は募集期間が必ず出る)
- 管理費・修繕積立金を無視(区分マンションで特に致命的)
- 固定資産税・都市計画税を入れない
- 火災保険・地震保険・更新費用を入れない
- 募集費(AD)や原状回復費の考慮がゼロ
- 家賃下落を想定しない(築年が進むほど効く)
表面利回りは「比較の入口」には使えますが、購入判断には向きません。
STEP2:実質利回りの計算(入れるべき経費の一覧)
実質利回りは、ざっくり言うと下のイメージです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入 − 年間経費)÷ 物件価格 × 100
ここでのポイントは「年間経費」に何を入れるか。初心者はここが抜けて利回りが“高く見える”状態で突っ込んでしまいます。
- 管理委託料(家賃の3〜5%など)
- 管理費・修繕積立金(区分マンションならほぼ確実に発生)
- 固定資産税・都市計画税(年額で見積もる)
- 保険(火災・地震など)
- 空室損(例:年1か月分の家賃を控除する等で保守的に)
- 募集費・原状回復(年平均で“ならす”)
ここを入れるだけで、表面利回りは現実寄りに一気に落ちます。落ちて見えるのが正常です。
STEP3:ローン込みのキャッシュフローで“詰むか”判定
利回りは“年の指標”ですが、生活を詰ませるのはだいたい「毎月の赤字」です。
だから購入前に、ローン返済込みのキャッシュフロー(CF)を最低1回は計算してください。
- 毎月CF=家賃 −(管理委託+管理費/修繕+税金按分+保険按分+その他)− ローン返済
- この毎月CFが“普段からギリギリ”だと、空室・修繕・金利上昇で一気に赤字化します
- 目安として「空室1〜2か月」でも耐える設計か、をチェック
例)2,000万円を金利2%・35年で借りると、元利均等返済の月返済は約6.6万円。家賃8万円でも、他の経費が乗った時点で「赤字 or ほぼゼロ」になりがちです。
STEP4:物件比較テンプレ(数字の入れ方・見方)
比較のコツは1つ。経費の前提を統一すること。
おすすめは「空室:年1か月」「募集/原状回復:年でならす」「税金・保険:年額で固定」のように、同じ前提で入れることです。
| 項目 | 入れる数字 | よくある罠 | メモ |
|---|---|---|---|
| 家賃収入 | 満室想定(年額) | 下落をゼロ前提 | 保守的に |
| 空室損 | 年1か月分 | ゼロで計算 | 必ず入れる |
| 管理/修繕 | 管理費+修繕積立 | 無視して利回り盛り | 区分は必須 |
| 税金/保険 | 年額を按分 | 「細かいから」省略 | 省略しない |
この表の“罠”を潰すだけで、実質利回りは一気に現実寄りになります。
STEP5:判断ライン|買う/見送るの条件をチェックリスト化
ここまで計算しても迷うなら、最後はチェックリストで“買わない理由”を先に潰すのが早いです。
- 実質利回りが低すぎる(経費・空室を入れたら一気に薄い)
- 毎月CFがほぼゼロ(空室1か月で即赤字)
- 修繕積立が安すぎ/上がる余地が大きい(将来の負担が読めない)
- 売却(出口)の絵が描けない(売る時に値が付く根拠がない)
- 「この物件なら勝てる理由」が説明できない(他人のおすすめ頼み)
“買う理由”より“買わない理由”を先に潰すと、カモりにくくなります。
- 表面利回りは入口だけ。判断は実質利回り+毎月CFでやる
- 空室・修繕・税金・保険・募集費を“同じ前提”で入れて比較する
- 空室1〜2か月でも耐えるか(耐えないなら買う前に詰む)
- 最後は出口(売れる根拠)まで言語化できたらGO
次は「表面/実質の計算テンプレ(コピペ用)」や「ワンルーム投資で利益が残らない理由」もセットで読むと、判断がさらに固くなります。
「リスクを抑えて増やす」側の選択肢も見ておくと、比較で判断ミスが減ります。
不動産は税金・保険・固定費の理解が必須。基礎を押さえると“営業トーク耐性”が上がります。
よくある質問(FAQ)
A. 目安は地域や築年・融資条件で大きく変わります。大事なのは「表面」ではなく、経費と空室を入れた実質利回りと、ローン込みの毎月キャッシュフローがプラスで回るかです。
A. 表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割っただけの“見た目の数字”。実質利回りは管理費・修繕・税金・保険・空室損などを差し引いて、手元に残る利益に近づけた数字です。
A. 厳しめに見るなら入れるのがおすすめです(仲介手数料・登記費用など)。最低限「年間経費+空室損+募集費」を入れ、さらに諸費用も加えると、より現実に近い判断になります。
A. 実質利回りは“物件の収益性”を見る指標なので、返済は別で毎月キャッシュフローとして評価するのが分かりやすいです。利回りが良くても毎月赤字なら危険です。
A. 不動産は「空室・修繕・金利・売却(出口)」のリスクがあり、数字を読めないと不利になりやすいです。一方NISAは商品選び次第で分散しやすい。まずは不動産を検討する前に、手数料とリスクを抑えた資産形成の選択肢も並べて比較するのが安全です。






