生活保護って月いくらもらえるの?条件・金額の目安と「働いたら損」にならない仕組み

「生活保護って月いくらもらえるの?」
「普通に働くより得って聞くけど、本当なの?」
こういう疑問、正直一度は考えたことがある人が多いと思います。
- 生活保護の金額は「地域」「家族構成」「家賃」で変わるため、一律で○万円とは言えない
- 都市部の単身世帯なら月10〜13万円前後、家族世帯なら月18〜25万円前後になるケースが多い(あくまで目安)
- 生活保護費は税金・社会保険料が引かれないうえ、医療費も原則0円なので、手取りの感覚は「同じ金額の給料」とは違う
- 働いたらその分すべて生活保護費から引かれるわけではなく、一部は「勤労控除」で手元に残るような仕組みになっている
この記事では、
- 生活保護の基本的な仕組み
- 月いくらくらいもらえるのかの「目安」
- 受給の主な条件
- 働いたときにどう金額が変わるのか(勤労控除のイメージ)
- 「働いたら損」にならないように作られているポイント
を中心に、なるべくフラットな視点で整理していきます。
生活保護ってどんな制度?「最後のセーフティネット」
生活保護は、憲法25条の
「健康で文化的な最低限度の生活」
を守るために、
- 病気や失業などで収入が大きく落ち込んだ
- 貯金もほとんどなく、年金や手当だけでは暮らしていけない
といった人たちに対して、国や自治体が「最低限の生活費」を補う制度です。
具体的には、
- 衣食・光熱費などの日常生活費 → 生活扶助
- 家賃 → 住宅扶助
- 医療費 → 医療扶助
- 介護サービス → 介護扶助
- その他、状況に応じた各種扶助
などを組み合わせて、
「この世帯の最低生活費はいくらか」=基準額
を計算し、
- 最低生活費(基準額) − 世帯の収入 = 生活保護費
という形で不足分を補います。
生活保護は「月いくら」もらえる?金額の目安
よく
「生活保護は月◯万円もらえる」
といった噂がありますが、実際には
- 住んでいる地域(物価・家賃水準)
- 世帯人数・年齢構成
- 家賃の額
などで金額が大きく変わるので、一律で「全国どこでも月◯万円」とは言えません。
ここでは、あくまでイメージをつかむための目安として、代表的なケースを見てみます。
単身世帯(1人暮らし)の場合
都市部(東京都など)の単身世帯の例では、
- 生活扶助(食費・光熱費など):およそ7〜8万円前後
- 住宅扶助(家賃の上限):およそ4〜5万円台
が一つの目安とされています。
合計すると、
単身世帯:月10〜13万円前後
くらいになるケースが多いイメージです。
もちろん、地方で家賃が安い地域なら住宅扶助の上限も低くなりますし、
年齢・障害の有無などによって加算がつくこともあるので、
あくまで「一例としてこれくらい」と考えてください。
夫婦・子どもがいる世帯の場合
2人以上の世帯では、
- 世帯人数が増えるほど生活扶助も増える
- 家賃の上限(住宅扶助)も、人数に応じて高くなる
ため、単身より金額は大きくなります。
イメージとしては、
- 夫婦2人:月15〜18万円前後
- 親+子1人〜2人:月18〜25万円前後
- 人数が多い世帯・家賃の高い地域では、月20万円台後半になるケースもありうる
といったレンジ感です。
ただしこれはあくまで「生活扶助+住宅扶助などを合計した、おおまかな目安」であり、
実際の金額は自治体や世帯の事情によってかなり変わります。
生活保護の主な受給条件(ざっくり)
「困ってるなら誰でもすぐもらえる」というわけではなく、
生活保護にはいくつかの前提条件があります。
- 世帯全体の収入が、最低生活費(基準額)を下回っている
- 預貯金・高額な車・不動産など、生活に使っていない資産がほとんどない
- 年金・手当・他の公的制度を先に使っても、なお足りない
- 働ける人は、就労の指導・支援を受けることが前提
つまり、
「自分の力(働く・貯金を崩す・他の制度を使う)」を全部使っても最低限の生活に足りない
場合に、初めて生活保護が検討される流れになります。
申請の窓口は、住んでいる地域の福祉事務所(生活保護担当)です。
「働いたら損」にならないように作られた仕組み
よくある誤解が、
「生活保護は、働いたら働いた分だけ丸ごと減らされる」
というイメージです。
もし本当にそうだったら、
- 1万円稼いでも、その1万円が全部生活保護費から引かれる
ことになり、
- 「働いても手取りが増えない → 働く意味がない」
という状況になってしまいます。
これを防ぐために、生活保護には「就労収入に対する控除」が用意されています。
勤労控除(就労控除)のイメージ
実際には、
- 給料などの勤労収入から、
- 通勤費・社会保険料などの必要経費
- 一定割合の勤労控除(就労控除)
などを差し引いた残りの部分だけが、生活保護費から減額される仕組みになっています。
かなりざっくり言うと、
「働いて得た収入の一部は、そのまま手元に残せる」
ように設計されているイメージです。
具体的にはどうなるの?(超ざっくり例)
※説明をシンプルにするために、数字はあくまでイメージです。
- ある人の最低生活費(基準額):13万円
- 現在の生活保護費:13万円(収入なし)
この人がアルバイトを始めて、
- 月5万円の給料を得たとします。
ここから、
- 通勤にかかった実費
- 社会保険料
- 一定割合の勤労控除(ざっくりいうと「働き続けるための必要な支出」として見てくれる部分)
などが差し引かれ、
- 実際に生活保護費から引かれるのは「5万円の一部だけ」
- 残りはその人のプラス分になる
という形になります。
これによって、
- 働いていないときより、働いた方が世帯全体の手取りは増える
- 少しずつ働く時間や収入を増やすほど、保護費は減りつつもトータルの収入は増える
という方向に、制度がデザインされています。
「働いたら損」って本当に起こるの?
ネット上では、
- 「生活保護は働くと損する」
- 「働いた分だけ引かれるから意味がない」
といった声も目にしますが、実際には
- 就労収入の全額が即座に保護費から引かれるわけではない
- 一定の控除があるため、「働き損」にならないように工夫されている
というのが制度上の基本スタンスです。
もちろん、
- 収入が増えていくと徐々に保護費は減っていく
- あるラインを超えると「そもそも生活保護は不要」と判断される
ので、「働きながら一生生活保護」という前提の制度ではありません。
あくまで、
- 「いきなり自立は難しくても、できる範囲から働きつつ、少しずつ保護から卒業していく」ためのクッション
として位置づけられているイメージです。
生活保護の金額を「給料」と比較するときの注意点
よく、
「手取り20万円で働いてる人より、生活保護の方が楽じゃない?」
という比較がされますが、ここにはいくつか注意点があります。
- 生活保護費には所得税・住民税・社会保険料がかからない
- 医療費は原則0円(医療扶助)
- その代わり、貯金や資産の保有には厳しい制限がある
つまり、
- 「生活保護◯万円」と「会社員の手取り◯万円」は、中身の構造が全然違う
という点は押さえておいた方がいいです。
また、生活保護の世帯は
- 家賃・光熱費・食費・日用品
などをやりくりすると、決して「贅沢三昧」ではない水準で生活しているケースが多いのも事実です。
まとめ:生活保護は「ズルいお金」ではなく、人生の最終セーフティネット
この記事の内容をまとめると、
- 生活保護の金額は、地域・家族構成・家賃などによって変わるため、一律で「全国どこでも月◯万円」とは言えない
- 都市部の単身世帯で月10〜13万円前後、家族世帯では18〜25万円前後になることが多い(あくまで目安)
- 生活保護は「最低限の生活費」を補う最後のセーフティネットであり、贅沢するためのお金ではない
- 働いた分が全額減らされるわけではなく、勤労控除などで「働いた方がトータルの手取りは増える」ように作られている
誰にとっても、
- 病気・ケガ・離職・離婚・災害…
などで、いつ生活が苦しくなるかは分かりません。
だからこそ、生活保護は
「自分には関係ない制度」ではなく、「万が一のときに命綱になってくれる仕組み」
として知っておく意味があると思います。
もし自分や身近な人が本当に困ったときは、
一人で抱え込まずに、住んでいる地域の福祉事務所(生活保護担当窓口)に相談してみてください。
※本記事は、日本の生活保護制度についての一般的な概要をまとめたものです。実際の支給額・受給可否・控除の詳細は、世帯ごとの状況や自治体によって異なります。具体的な判断や最新情報については、お住まいの福祉事務所や厚生労働省・自治体の公式情報をご確認ください。






